コンサルティング業界で長年経験を積んできた北山、中北が立ち上げるLiMiNALコンサルティングは、従来のコンサルティング手法とは一線を画した、感情や内面にもフォーカスした組織開発を目指しています。
今回は、人と組織の治療家として、会社経営からコンサルティング、タイ古式マッサージ、大学教授まで幅広く活動されている三城氏を交えて、LiMiNALが目指す世界観と新しいアプローチについて語りました。
(※本記事は、2025年6月時点での対話・インタビュー内容をもとに構成しています。 )
参加者

北山
LiMiNAL創業者

中北
LiMiNAL創業者

三城
人と組織の治療家
ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授
JIN-Gグループ創業者
株式会社JIN-G代表取締役社長
タイ古式ヨガマッサージセラピスト、会社員
創業のきっかけ「つかれない社会への移行」に込めた思い
北山
実は当初は人材紹介をやる予定だったのですが、検討を重ねた結果、メインは人事コンサル、特に組織開発・人材育成をメインにしたコンサルティング会社を立ち上げることに。
今の世の中、疲弊しながら働いている人が多いように感じます。だからこそ「つかれない社会」というのが、私たちの目指したい形です。
「つかれない社会」を実現するために、まずは「いい組織を作り、いい組織に人が流れる」この流れを作っていきたいと思っています。
中北
1日が終わったときに「あー疲れた」という達成感はあるけれど、ヘロヘロでメンタルもボロボロ、という疲弊した状態ではないのが、私たちの目指す「つかれない社会」です。疲れていないから、新しい何かに挑戦していく活力がある。そんな状態が理想ですね。
そんな社会、職場環境を作るためには「いい組織」が増える必要があると考えています。
いい組織に人が流れていくと、必然的に「良い組織に変わらなければならない」という圧力が生まれる。その循環を作りたいと思っています。
三城
「いい組織」であるためには、安心感と存在感の両方が感じられることが重要ですよね。「陰で悪口を言われているような気がする」「頑張っていないことを指摘されそうな恐怖がある」といった、そのままでいられない感じが安心感を阻害している。
一方で存在感とは、自分がやっていることが役に立っている感覚、チームに求められている感覚、必要とされている感覚です。
北山
まず「組織にいる(=存在している)」ということをみんなに認められ、考えていることを尊重されている状態が必要だと感じています。
そして、行動することで「ありがとう」と言われたり、還元できていることを周りも認識してくれている。これがいい組織の重要な要素ですね。
LiMiNALの組織開発「YURAモデル」とは
中北
従来のAs is/To be分析、つまり現状分析と理想の設定に多くの時間と労力をかけることに、それほど価値がないんじゃないかと考えています。
大事なのは「こういうところを目指したいよね」という理想と、「今現状、本当はこう思っているんだよね」という本音を各々が出し合っていくこと。そして私たちが注目しているのは、プロセスの中には必ず「揺らぎ」があるという点です。
北山
理想と現実の間で揺らいで出てきたものを紐解いて、「なんで私はこれができないことに、こんなにモヤモヤしているんだろう」「なんでこれができないと判断してしまっているんだろう」といった、裏にあるものまでしっかり理解していく。これが「落とす」プロセスです。
中北
現実にも深さがあるんです。
・見えている現実
・見たくない現実
・気づいていない現実
この違いを把握して向き合うのが大切だと思っていて。
個人で、自分の中の現実と向き合うのは簡単ではありませんし、痛みで泣いてしまうかもしれません。組織の場合だと、個々によって意見や考えが異なるので大喧嘩になるかもしれません。でも、それを明らかにしていく。一度深くネガティブな部分とも向き合ってから 浮上していく、このプロセスが重要なんです。
三城
人で言うと「本当の自分に戻る」、組織で言うと「本来の目的に戻る」ということですね。
多くの人や組織は知らないうちに不安や恐怖で、どんどんいろんなことをやってしまっているから、「本当はどうありたかったか」に立ち戻るのは大切です。
北山
理想と現実を統合したらどんな自分になるのか、力を抜いて働けるのか。「ありたい組織像」と、「理想とは違う自分たち」の間で葛藤していただく。
最終的にどちらもあっていいと受容できたときに、何に向かっていくのかを形作っていく。そんなプロセスを提供していきたいと思っています。

従来のコンサルティングとの違い──両輪で回すアプローチ
北山
従来のコンサルティングは、現状分析をして『ここが改善点だ』と問題を指摘して、それに対して解決策を提示して終わります。でも、いかに素晴らしい解決策を立てようとも行動しなかったら前に進まないし、職場に戻ったら『はい、いつも通りの行動です』だと、結局何も変わらないんですよね。
三城
現状分析は、自分に見えている世界を正しいことにするだけですからね。現状分析して「確かに認識の通りです」で終わったら、その人の考えを強化するだけ。今はパソコンとAIで誰でも現状分析はできますが、それは自分の知っている範囲内での分析です。
そこに何か予想外の発言や気づきがあって、初めて新しい発見につながるのではないでしょうか。
中北
LiMiNALは従来のコンサルティング手法を全否定するのではなく、適切な使い分けを重視しています。対話やコーチング、心の学びといった右脳的なプロセスと、それをコンサルとしてどう分析するかという左脳的なプロセス、この両輪を回すことで、状況に合った対応が可能になるのです。
三城
技術的課題であれば従来のアプローチでいいんですよね。「もっと早く納品したい」「現状納品できていない」「じゃあこうすれば早く納品できる」「納品できた、終わり」みたいな。
でも適応課題の場合は違います。使い分けが重要で、自分の中の「揺らぎ」を見つけたら、理性でバーッと邁進する。左脳の論理的思考で進める方がスピードも速いし、ゴールも明確で、みんなもわかりやすいでしょう。ただ、それをうまく進めるためには、先に右脳の直感的思考で考えを深める、というステップが必要なんですね。
人がマネジメントする意味~不安と恐怖からの脱却~
三城
「経営の神様」として知られる稲盛和夫氏が、目標設定に悩む経営者にアドバイスした話があります。
「高すぎる目標だとみんな諦めるし、低すぎると甘えが出る。同じ目標だとできる人は頑張らなくなるし、個別目標だと不公平感が生まれる」という悩みに対して、稲盛氏は「悩んでいること自体が経営しているということだ」と答えました。
つまり、目標を立てることはそれぐらい難しい舵取りなんです。だから人間がやる必要があるし、経営者がやる必要がある。全部合理的に、客観的にゴールを立てるのではなく、そこに人間が介在する意味があるんです。
北山
私は今の立場になってKPIの本当の理由がようやく分かりました。経営側の不安を和らげるためにも使われているんですね。
「数字を上げなかったらどうしよう」「この投資をちゃんと回収できるのか」といった不安に対して、投資するタイミングで「これでいい」と思うためにKPIが使われている。
三城
不安と恐怖のマネジメントは当たり前に行われています。宣言して、やらなかったら申し訳ないという気持ちになる。これはそもそも不安、恐怖から来ているんです。
北山
達成しなかったのには原因があって、分析したら理由が出てくるに違いない、という発想。できなかったことが得体の知れない何かによってではなく、「これが悪かったからできなかった」という安心を得たいんですよね。
KPI自体が悪いものではなく、経営者、管理職、社員一人一人といったいろんな立場での意味付けを体感したからこそ、効果的なツールとして使うことを提案できるように思います。

コーチングとコンサルの融合~新しいアプローチの提案~
中北
対話だけ、コーチングだけでいくとプレイヤーはたくさんいます。私たちの強みは、対話やコーチング、心の学びで揺らぎを浮き彫りにするという右脳的思考と、コンサルとしてどう分析するかという左脳的思考の両方を持っているという点です。
北山
必要な時にはAs is/To be分析に振り切れるし、状況を見て今これが必要だと思ったらYURAモデルに振り切れる。この使い分けがどちらもできるのが、私たちがLiMiNAとしてやる意味だと思っています。
三城
コンサルには、イメージや直感だけの人もいるし、分析や情報提供だけの従来型の人もいる。まだ資本主義がこの世の中のエンジンである以上、右脳的思考に完全に振り切ってしまうとビジネスになかなか持っていきにくいんですよね。ちょうどいい塩梅で、どちらもわかって使い分けができるのが重要だと思います。
今後の展開~LiMiNALが目指す新しいコンサルティングの形~
北山
まずは100人〜500人程度の規模の組織を良くするお手伝いをしたいと思っています。それは会社かもしれませんし、部署やチーム単位かもしれません。
中北
また自分たちだけで大きくしていくのではなく、対人支援をしている人たちにも協力していただけるような仕組みを作りたいですね。
今までのコンサルティングサービスでは提供しきれなかった日々の業務への伴走、例えばミーティングに同席して対話を促したりリアルタイムでフィードバックしたりもしていきたいんです。
講座を作って組織開発ができる人を増やしていく。コンサルタントと右脳的な感覚・体感を大事にしながら企業に対話を促す人、この組み合わせでサービスを提供していけたらと思います。
三城
いいですね。「人と組織の仕事をもうちょっとやってみたい。でもどうやっていけばいいのかわからない」という人はたくさんいますから。
北山
LiMiNALの伴走を通していい組織が増えていったら、その組織に人を紹介しましょうかというのが中長期的に見えて、いい組織で自分の力を思い切り発揮していく人が増えるという循環ができていく、、そういう感じにしていきたいなと思います。
LiMiNALは、従来の論理重視のアプローチと感情・対話重視のアプローチを統合したYURAモデルで、組織と個人の本質的な変容を支援し、「つかれない社会」の実現を目指します。
