LiMiNALコンサルティングでは、2025年11月から、全メンバーを対象に週休2.5日制を導入しています。
週休2.5日と聞くと、働く人のための福利厚生という印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、LiMiNALにとって週休2.5日は、単に「休みを増やす制度」ではありません。
なぜ、この働き方を選んだのか。会社にとってどのような意味があるのか。そして、制度を形だけで終わらせず、実際に機能させるためには何が必要なのか。
LiMiNALが週休2.5日を始めるにあたって考えたことを、代表の北山乃理子に聞きました。
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「つかれない社会」を、まずは自分たちから
——まず、LiMiNALが週休2.5日を始めた理由を教えてください。
北山
LiMiNALは、「つかれない社会の実現」をビジョンに掲げています。週休2.5日は、そのビジョンを実現するための一つの手段として始めました。
私たちが考える「つかれない」とは、単に疲労がないことではありません。明日への活力が湧き、自分や周囲に目を向けられる余白がある状態です。
余白があるからこそ、新しいことに挑戦してみようと思える。新しいアイデアが生まれ、前に進むためのエネルギーも蓄えられる。そういう状態を社会の中につくっていきたいと思っています。
そして、人や組織に提案するだけではなく、まずは自分たち自身がそうありたい。余白のある働き方を自分たちが体現し、その効果を経験として持っていたいと考えました。
――週休2.5日そのものが目的ではない、ということですね。
北山
はい。週休2.5日は、あくまでも選択肢の一つです。
私たちが目指しているのは、その先にある「つかれない社会」です。制度を導入することがゴールではなく、余白によって人が前向きになり、新しいことに挑戦できる状態をつくることを目指しています。
働く人だけでなく、会社にもメリットがある
――週休3日や週休2.5日は、従業員のための制度と捉えられることが多いように思います。会社側には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
北山
LiMiNALでは、大きく二つのメリットがあると考えています。
一つは、仕事そのものを見直すきっかけになることです。働く時間が半日減るのであれば、これまでと同じ仕事の進め方を続けるだけでは成り立ちません。
AIやツールを活用して作業を効率化することも必要です。ただ、それだけではなくて、「そもそも、この作業は必要なのか」「この資料は本当に使われているのか」と、仕事の目的や進め方そのものを問い直す必要があります。
減らす、やめる、変える。その判断まで含めて、仕事を再設計する機会になると思っています。
――もう一つのメリットは何でしょうか。
北山
新しい働き方を提示することで、他社との差別化につながることです。
今多くの会社では、長い時間をかけてがっつり働くか、仕事をセーブしてゆっくり働くか、二つの選択肢で捉えられることがあります。働く時間を短くすると、「今は仕事に本気で取り組まない時期を選んだ」「キャリアや成果を諦めた」と見られてしまうこともあります。
でも、私たちが目指しているのは、そのどちらでもありません。
働く時間には余白を持ちながら、仕事には本気で向き合い、高い成果を目指す。専門性を発揮し、自分自身も成長していく。「余白があること」と「仕事に本気で取り組むこと」を両立する、第三の選択肢です。
――コンサルティング会社として、その働き方を示すことにも意味がありそうですね。
北山
そうですね。コンサルティング業界には、長時間労働や忙しさと引き換えに成果を出すイメージが、今も少なからずあると思います。
その中で、半日分の余白を持ちながらも、高い専門性とパフォーマンスを発揮する。消耗せず、長期的に成果を出し続けられる働き方を体現することは、LiMiNALらしさにもつながると考えています。
制度を機能させるために必要な、5つの前提条件
――週休2.5日は、制度を整えればすぐに機能するものなのでしょうか。
北山
制度として導入することはできても、実際に機能させるためには、制度以外の準備も必要です。
LiMiNALでは、大きく5つの要素が必要だと考えました。
1つ目は、制度につながるビジョンがあること。2つ目は、トップが本気でコミットしていること。3つ目は、分かりやすい制度設計ができていること。4つ目は、制度が組織に浸透していること。そして5つ目は、従業員自身が「休みを取る」とコミットしていることです。
1.ビジョン――なぜやるのか、その先に何を見るのか
――1つ目の「ビジョン」について、もう少し詳しく教えてください。
北山
まず、「なぜこの制度をやるのか」「やった先に、どのような組織や働き方を実現したいのか」を明確にすることが大切です。
休みを増やすこと自体を目的にしてしまうと、業務が忙しくなったときに、「今は仕方がない」と後回しになりかねません。制度が会社のビジョンとつながっていれば、判断に迷ったときに立ち戻ることができます。
LiMiNALの場合は、「つかれない社会の実現」と「余白を持ちながら本気で働く」という目指す姿が、週休2.5日を続けるよりどころになっています。
2.トップコミットメント――経営が腹落ちしているか
――2つ目は、トップのコミットメントですね。
北山
はい。トップが自分自身で腹落ちして、「本当にやろう」と思えていることが必要です。
制度をつくっても、経営者自身が「忙しいときは取れなくても仕方がない」と考えていれば、その空気は組織に伝わります。週休2.5日を「あればよい制度」ではなく、会社が持続的に高いパフォーマンスを出すために必要な仕組みとして捉え、自らも実践することが欠かせません。
私自身、過去に週休3日という働き方をした際、休むことで生活のリズムが整い、仕事のパフォーマンスも上がる感覚を経験しました。その実感があるからこそ、理念として理解しているだけではなく、経営者として強くコミットできています。
3.制度設計――誰もが迷わず使える状態をつくる
――3つ目の「制度設計」では、何を決めておく必要がありますか。
北山
就業規則など、会社としての仕組みを整えること。そして、その仕組みを実際に回すための、分かりやすい運用ルールをつくることです。この二つをセットで考える必要があります。
たとえば、「半日」とは何時間なのか。いつ取得できるのか。祝日がある週はどうするのか。取得できなかった分は繰り越せるのか。実際に運用しようとすると、さまざまな疑問や例外が生まれます。
すべてを事前に想定することは難しいですが、迷ったときに誰に相談し、どのように判断するのかまで決めておくことが大切です。実際にやってみてから改善することを前提にしつつ、制度の曖昧さはできるだけ減らしておく必要があります。
――給与や評価、業務量との関係も整理が必要でしょうか。
北山
とても重要です。役割や業務量が曖昧なままだと、休む本人が「本当に休んでよいのだろうか」と仕事を抱え込んだり、誰かが休んだ分を、ほかの人が巻き取ったりすることになります。
その結果、特定の人に負荷が偏る制度になってしまっては意味がありません。業務内容や業務量、期待される役割を明確にし、それにひもづく評価や給与の考え方も整理する必要があります。
LiMiNALでは、給与水準を維持したまま、生産性を高め、仕事の設計を変える方法を選びました。
4.浸透――制度の理解と、会社の「本気度」を伝える
――制度をつくった後、組織に浸透させるためには何が必要ですか。
北山
まずは、週休2.5日がどのような制度なのかを、全員が頭で理解することです。その上で、「この会社は対外的に発表するだけではなく、本気で週休2.5日を取り組むのだ」と感じてもらうことが大切です。
新しい制度に対して、「実際には休めないのではないか」と不安になるのは自然なことです。その不安がなくなるまで、トップだけでなく、チームのさまざまな人が、さまざまな場面で「私たちは本当にこの制度をやる」と伝え続ける必要があります。
そして運用が始まったら、全員が実際に取得する。休みを取る人が少数派になってしまうと、制度は崩れてしまいます。言葉だけでなく行動でも本気度を示すことで、制度への信頼が少しずつ生まれていきます。
5.従業員のコミットメント――「どうしたら休めるか」を考える
――最後は、従業員側のコミットメントですね。休みを取る側にも意識が必要なのでしょうか。
北山
はい。週休2.5日を実現するには、0.5日分の仕事を減らし、効率化する必要があります。「どうせ無理だよね」と諦めるのではなく、「どうしたらできるか」を一人ひとりが考える姿勢が欠かせません。
それから、休みと決めた半日に、裏で仕事をしないという強い意思も必要です。
クライアントから休みの時間帯にミーティングや期限を提示されたら、別の日程を提案する。「その時間は休みなので、別の日程でお願いします」と、罪悪感を持たずに伝える。ときには、ミーティングや期限を半日ずらすための調整も必要になります。
それを特別なことだと思わず、制度を実現するための当然の行動として選ぶこと。会社だけでなく、従業員自身にも「休みを守る」というコミットメントが求められます。
制度と意識、その両方がそろって初めて動き出す
――最後に、週休2.5日の導入を検討したい企業へ伝えたいことはありますか。
北山
週休2.5日は、制度として導入するだけなら、多くの会社で実現できるかもしれません。でも、誰かに負荷を偏らせることなく、全員が安心して休み、その余白を次の活力につなげるためには、制度の外側にある準備も必要です。
ビジョン、トップコミットメント、制度設計、浸透、そして従業員のコミットメント。この5つがそろうことで、週休2.5日は初めて、組織の中で生きた制度になると考えています。
LiMiNALは、「つかれない社会」の実現を目指し、余白を持ちながら本気で働くことに、チーム全員で取り組んでいます。まだ試行錯誤の途中ですが、実践したからこそ見えてきたこともあります。その経験を、社会に伝え、広げていくことも、私たちの役割だと考えています。
働く時間は短くても、本気で仕事に取り組める。
余白を持ちながら、高い成果を目指せる。
仕事と生活のどちらかを諦めなくてもよい。
そのような働き方が、これからの社会における一つの選択肢になってほしいと思っています。
次回は、実際に週休2.5日を続けてみて、メンバーがどのように感じたのか。制度によって何が変わり、どのような課題が見えてきたのかを、率直にお伝えします。
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