YURAモデルとは何か――課題解決だけでは進まない組織変容を考える

制度を整えても、研修を導入しても、なぜか組織が動かない。

同じ課題が繰り返され、現場には言葉にならない停滞感が漂っている。

そんな手応えのなさに向き合う中で、私たちが現場で培ってきた考え方が、YURAモデルです。

このコラムでは、課題解決の枠組みでは進みにくい組織変容に対して、YURAモデルがどのように働きかけるのかを紹介します。

YURAモデルの概要

YURAモデルとは、わたしたちLiMiNALコンサルティング株式会社(以下、LiMiNAL)が様々な会社・組織に対してコンサルティングを提供する中で、うまく変容が進んだ組織に共通する行為やあり方、プロセスをモデル化したものです。

モデル化に際しては、マサチューセッツ工科大学のオットー・シャーマーさんのU理論と野中郁次郎さんの組織的知識創造理論(=SECIモデル)を参考にしながら、現場で培った経験・知恵を、日本企業・組織の変容に資する形で生み出しました。

YURAモデルのステップ

YURAモデルは以下の5つのステップによって成り立っています。

  1. ありたい姿を設定する
    自分たちがどんな人たちでありたいか、どのような状態で仕事をしたいか、その際の関係性はどうかを一人ひとりが声を出し、声にならない声(空気)も大事にしながらありたい姿を設定します。
  2. 変容に向けて行動する
    前ステップで設定したありたい姿に向けて行動をします。ただ闇雲に行動することではなく、意図をもって=ありたい姿に向けて行動することが肝要です。
  3. ゆらぎ、そして向き合う
    行動をすることで新しい自組織・自分との出会いがあり、それが大きな気づきとなります。中には個人的/集合的無意識が明らかになることでの自己矛盾やできないこと、またそこから見えてしまった見たくない自分もあります。
  4. 紐解き
    対話を通じて、ゆらぎの中にある思考の背景を丁寧に紐解いていきます。同時に、紐解いていくことで明らかになった自分・自組織を自己受容する、また一緒に働いている方々のゆらぎと背景と出会い、相互受容していきます。
  5. 自然な変容
    紐解き、受容をすると、不思議なことに自ら(おのずから)変わっていくことになります。前ステップで自分・自組織の背景を肚落ちすることで、自律的に・自然と向かうべきところに向かって変容していくのです。
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このステップを繰り返すことで、事業環境や組織風土・人の状態にあわせた変容が螺旋階段を上っていくかのように持続的・永続的に進んでいきます。

今までの組織開発/変容手法との違い

世の中には組織変容の方法論は数多くある中で、それらとYURAモデルはどのような違いがあるのでしょうか。

私たちが現場で大切にしてきたのは、次の3点です。 

  • 無意識・非言語情報を大切に取り扱う
    多くの組織変容では目に見える情報・数値化できる情報を中心に据えて進めていきます。YURAモデルでは、どのステップでも対話を行い、その中で一人ひとりが気づいていない無意識や組織の空気感・温度感等目に見えない情報を捉えて進めていきます。
  • 外科的変革と内発的変容の両方法を取り扱う
    現状とありたい姿とのギャップを明らかにして、制度設計や業務施策・ルールを導入する。多くの企業で行われている方法で、これを外科的変革と言います。一方、人・組織の内側にある価値観・信念を取り扱い、変わりたい気持ちを大切にする、これを内発的変容と言います。YURAモデルでは両方法で組織の変容を行います。
  • 湧き出てくる理想を設定する
    ありたい姿を設定する際に、「自分たちはだめだ・足りていない」という視点からではなく、思考を紐解いていった結果、無意識の思い込みを浮彫にして取り除いた上で湧き出てくるありたい姿を設定します。
    だからこそ誰かに矯正されるのではなく、自然と理想に向かって動き出せる、根本的な行動の変容が起きるのです。

これらの違いがあるからこそ、本質的な変容が行えるのです。

変化を支えるベース

YURAモデルを実践するためには、単に各ステップを実施するだけではなく、各ステップを踏むことで自然と変容が進んでいくようなベースが必要です。

  • 組織状態を”特性”と捉える
    組織の特性はそれそのものが良い/悪いはなく、それは状況によって変化します。例えば『真面目な人が多い』という特性を例に取ると、それがポジティブに働く際は『仕事をやりきる』になりますし、ネガティブに働くと『一人で抱え込みすぎる』となります。大切なことは一足飛びに結果を見るのではなく、特性を認識し受け入れて、どうポジティブな結果を導き出せるか考えることです。
  • オープンに出せる場を醸成する
    組織変容の場でよくあることは、少数の人が声を大きく・多く話をして、他の人は黙っていることです。リスペクト・信頼できる関係性・場を作り、また一人ひとりが自分自身をリスペクトして小さな違和感でも表出できることが肝要です。

これら2つのことが重要なため、LiMiNALがYURAモデルで組織変容を実施する際には、コンサルタントとインテグレーターの2つの役割を担う人が伴走します。

コンサルタントは情報を整理し、構造化し、経営や組織の観点から課題解決の筋道をつくります。インテグレーターは、言葉になりきらない思いや違和感を受け取り、対話を通じて内側の変化を支えます。
外科的変容だけでは動かなかったテーマが、対話を通じて動き出すのは、現場の感情や願いが置き去りにされなくなるからです。

まとめ

YURAモデルは、課題をきれいに整理するためのものではありません。制度や施策を入れても動かない組織で、現場では何が起きているのか、なぜ同じ問題が繰り返されるのかを捉え直し、変化のプロセスそのものに働きかけていくための考え方です。

変化が必要な時代だからこそ、外からの改革だけでなく、内側から「変わりたい」と動ける状態をどうつくるかが問われます。制度や施策だけでは進みにくいテーマほど、対話や内発的な変容が実務の中で重要な意味を持ちます。

そうした難しさに向き合うとき、YURAモデルは、見えている課題の奥にある一人ひとりの心境や組織の構造を捉え直し、次の一手を選び取るための実践的な手がかりになります。LiMiNALの伴走は、そのプロセスを現場とともに進めていく関わり方です。

あなたの組織で、制度を入れても動かないテーマがあるとしたら、その奥では何が起きているでしょうか。その問いから始まる対話が、変容の入口になるかもしれません。

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